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うつ病は遺伝する!?

うつ病が発症する原因については、まだ完全に解明されていないのですが、遺伝的な要素もあるのではないかといわれています。ただし遺伝のみで決まるわけではなく、生活環境や出来事、本人の性格などが合わさって複合的に発症すると考えられています。

うつ病と神経ペプチドとの関係

遺伝 2011年、アメリカのミシガン大学の研究者グループが、うつ病は遺伝する可能性があることを発表しました。彼らは食欲やストレスに関連する脳内化学物質、「神経ペプチドY(NPY)」の分泌量に注目。その分泌が遺伝的に少ない人は、うつ病になるリスクが高くなることを発見しました。

その実験の1つに、被験者をNPYのレベルによって3つのグループに分け、それぞれに3つの単語を見せるというものがあります。1つは「物質」、1つは「希望」、そしてもう1つが「殺人者」という単語です。

するとNPYレベルのもっとも低いグループの被験者たちの脳が、「殺人者」という単語に対して他のグループよりも強く反応しました。それは感情をつかさどる前頭前野という部位です。

また筋肉注射によって痛みを与える実験でも、NPYレベルの低いグループでは他のグループよりも苦痛を大きく感じるとの研究結果が出ており、ネガティブなことに対する感情の揺れ動きが大きいと証明されたとのことです。

さらにうつ病患者の遺伝子検査をすると、NPYレベルがその他の人より圧倒的に低いことも分かり、これらの実験を総合して「うつは遺伝する」との結論に至ったようです。

うつ病のリスク判定や、治療への応用に期待

つまり遺伝的にNPYの分泌量が低い人は、ネガティブなことに弱いため、同じストレスを受けてもその他の人よりうつになりやすいと推測される、ということになります。

まだ実用の段階には至っていませんが、この発見によってうつ病の早期診断や治療に役立てられる可能性があるほか、まだ症状がない状態でも将来的なリスクをはかれるのではないか、との期待が高まっています。

ただし遺伝がすべてを決めるわけではなく、実際にうつ病を発症するためには身に起こった出来事や、その人が置かれている生活環境、もともとの性格なども大きく関わると考えられています。ですから「がん」などの遺伝と同様、あくまでリスクが高いということであって、それだけでうつになるとは決定できません。

それでも、この発見がより良いうつ治療に役立てられるのであれば、大いに期待したいところです。