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うつ病の診断~血液検査への期待

医師による問診が中心だったうつ病診断ですが、近年、血液検査による診断の可能性も出てきました。うつ病患者に特有の物質を調べることで、今後より正確な診断ができるようになるのではないかと期待されています。

血しょう中のEAP濃度による診断

血しょう中のEAP濃度 うつ病における血液検査として注目されている物質の1つが、血しょうの中にあるEAP(エタノールアミンリン酸)です。山形県の企業「ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ」と、東京の「外苑メンタルクリニック」とが共同で開発した検査法になります。

うつ病患者の血しょうを調べると、健康な人と比べてEAPの濃度が低いことが分かり、それをマーカーとして使える可能性が出てきました。この検査で、うつ病の患者を正確に特定できた確立は82%、また健康な人を除外できた確立は95%だったとのことです。 実際、すでに外苑メンタルクリニックで一般向けの検査がおこなわれており、うつ病の診断に役立てられています。

今度はさらに精度を高めつつ、血液からEAP濃度を測定するための検査キットの開発が進められています。もしこれが完成すれば、多くの医療機関で簡単にうつ病診断ができるようになるかもしれません。

神経細胞の成長に必要な遺伝子による診断

もう1つのマーカーとして注目されているのが、「BDNF(脳由来神経栄養因子)」という遺伝子です。こちらは広島大学大学院の山脇教授らの研究グループが発見しました。

BDNFとは、脳の神経細胞が発達する際に必要となる遺伝子です。うつ病患者と健康な人の血液を採取し、BDNF内で起こる化学反応を調べたところ、うつ病患者では遺伝子の初期段階の機能がほとんど見られなかったとのことです。 これを検査に生かすことができれば、うつ病の早期発見はもちろん、抗うつ薬の効果を調べるためにも役立てられると期待されています。

現段階のうつ病診断では、医師による問診だけが頼りであり、必ずしも正確な診断がつくとは限らないのが現状です。中には躁うつ病のうつ状態の症状と間違えることも少なくありませんし、高齢者の場合は認知症との区別がつきにくい場合もあります。 ですから血液診断の精度がさらに上がれば、有効な初期検査として普及する可能性は大いにありそうです。