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入院治療や抗うつ薬でせん妄が起きる

うつ病を原因として生じる問題はいくつかありますが、せん妄もそのひとつと考えられます。また、せん妄はうつ病そのものではなく、うつ病の治療が原因で起きる場合もあります。

せん妄といっても耳慣れない言葉でなんのことかわからない人も多いことでしょう。ここでは、うつ病とうつ病の治療などで起こる可能性があるせん妄について考えます。

せん妄は複数の症状を持つ症候群

せん妄 まず、せん妄という名称は複数の症状を伴ったある種の症候群を指す言葉であって、特定の疾患ではありません。その症状とは一見すると認知症や痴呆と勘違いするようなもので、見当識障害などと呼ばれるものが主です。わかりやすくいうと、意識や注意、知覚、認知に問題を生じるのです。

たとえば、ついさっき見たものを思い出せないとか、最近数日間の出来事を忘れてしまっている等です。

せん妄になる主な原因

うつ病や抗うつ薬が原因でせん妄を引き起こすケースがあります。しかし、その状態がせん妄であると正しく理解できるかどうかはわからないものです。また、せん妄の原因には他の命にかかわる病気もあります。ですので、せん妄が疑われる場合は早めの診察が望まれます。

せん妄の主な原因は次のとおりです。

・入院
・手術
・うつ病、認知症、心臓病、脳卒中などの疾病
・アルコール中毒
・抗うつ薬、向精神病薬
・高齢

これ以外にもありますが、うつ病や認知症がせん妄の原因になっている点に注意が必要です。注意力の低下や無気力な様子はうつ病の症状と似ていますし、認知の障害は認知症と被るものです。これがせん妄に気付きにくい一因となることがあります。

なぜ最近の記憶がないのか

せん妄を発症している人と会話をしていると、数分前に話したことを、まるで初めて話すかのように再び話しだすことがあります。また、食事が済んだばかりなのに食事はまだかと聞いてくることもあります。

こうした現象は注意力が著しく低下することで、最近の記憶を整理できなくなっているために起きていると考えられます。数年前にヒットした映画で「博士の愛した数式」という作品がありますが、映画の主人公である博士は交通事故の後遺症で、記憶が80分しか持たないという設定でした。原因は全く異なるものの、せん妄の症状に接していると同じような光景が見られます。

せん妄は入院でも起きる

前述のように、せん妄は入院がきっかけとなって現れることもあります。入院という環境は変化に乏しく、身体の行動も制限されているため刺激が極端に減少します。その反面、看護や他の患者の都合上、安眠できない状態が続くこともあって身体機能の維持が困難になります。 うつ病で入院する場合には、余計に注意が必要かも知れません。