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抗うつ薬と自殺の関係

うつ病でもっとも注意すべきは患者さんの自殺ですが、実は治療のための薬物療法が自殺の引き金となる場合もあります。特に治療開始直後や、薬の用量や内容を変えた直後にリスクが高まるため、十分な注意が必要です。

抗うつ薬がなぜ自殺につながるの?

抗うつ薬と自殺の関係 FDA(アメリカ食品医薬品局)は、抗うつ薬を服用し始めたばかりの時期に、自殺のリスクが高まる可能性があると警告を発しました。また日本でも、抗うつ薬の説明書きには自殺企図のリスクがあることについて記載されるようになっています。

中でも10代~20代前半までの若い世代におけるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)治療は、自殺率を高めるとされており、厚生労働省も同様の警告をしています。

しかしうつ病を改善するはずの抗うつ薬で、なぜこのような問題が起こるのかと不思議に思われる方もいるかもしれません。まず考えられるのは、薬の効き目がまだ得られていないということです。

特に抗うつ薬は、服用を始めてすぐに効果が得られる薬ではありません。少なくとも1週間は継続しないと効果を実感できないといわれるのですが、その間に初期副作用である不安や焦り、衝動性の高まりのほうが強く出てしまうと、自殺につながるリスクがあるのです。

そしてもう1つが、抗うつ薬による症状の軽快です。うつ病が重症化している時期には、「死にたい」と思っていてもそれを実行するだけの気力も湧かないことが多いものです。しかし薬が効き始めてくると、自殺願望の実行という思いがけない形に発展するケースもあり得ます。

治療開始直後は、周囲の十分な「見守り」を

とはいえ抗うつ薬は、うつ病の治療には不可欠なものです。自殺率も、治療を受けていない人のほうが当然ながら高くなりますので、薬によるリスクを勘定に入れても、やはり服用するべきだといえるでしょう。

ただし特に若い患者さんの場合は、治療開始直後の経過観察をしっかりとおこなう必要があります。中でも最初の9日間がもっとも自殺率が高いとされていますので、家族など周囲の人がしっかりと見守り、不幸な結果を招かないよう気を配りたいものです。

また抗うつ薬による自殺リスクは治療開始直後のみならず、用量や内容を変えた直後にも高まることが分かっています。用量は増量した場合とは限らず、減量した場合も同じです。 このように薬物治療の内容に何らかの変化があった時には、特に患者さんの動向には気をつけることが望まれます。